研究

Research Interest

 

抗癌剤の用量探索試験のためのデザインと解析

抗癌剤による治療が成功するためには標的とする患者集団にとって最適な用量でもって投与される必要があります.このため,抗癌剤の最適用量は,その臨床評価・開発過程の早期の相 (第I相又は第I/II相) の「用量探索試験 (dose-finding trial) 」を通じて探索及び決定されます.この用量探索研究のためのデザインと解析に関する研究を行っています.

カウントデータを評価する臨床試験のデザインと解析

慢性閉塞性肺疾患(COPD)やてんかんの医薬品開発では,COPDの増悪やてんかんの発作頻度(カウントデータ)の減少効果を評価します.増悪や発作等のイベント発現率には個体差があることが知られており,この個体間差を適切に試験デザインと解析に反映させる必要があります.そのためのデザインと解析に関する研究を行っています.

プラセボ効果を考慮する臨床試験のデザインと解析

新しい医薬品の有効性を検証するのにプラセボ対照,二重盲検,ランダム化,並行群間比較試験が実施されます.ただし,精神医学,神経医学等の領域において,これら試験の多くは,プラセボ反応者 (プラセボを割り付けられたにも関わらず症状が改善する被験者) の存在により,実薬群のプラセボ群に対する優越性を示すことに失敗しています.この問題を解決するためのデザインと解析に関する研究を行っています.

探索的臨床試験のデザインと解析

医薬品の臨床開発過程では,少数の健常人又は患者さんを対象として当該医薬品の安全性及び薬物動態が確認された後,比較的少数の患者さんを対象として当該医薬品の有効性及び安全性の探索を目的とする臨床試験 (探索的臨床試験) が実施されます.探索的臨床試験では,当該医薬品の有効性及び安全性を証明する検証的臨床試験へとgo/no goに関する決定を行います.このためのデザインと解析に関する研究を行っています.

薬物動態の統計的推論

薬物動態学は,薬物の吸収、分布、代謝、排世からなる薬物の一連の処理過程で,薬物の投与後の生体内の経時的な動態を追跡することを目標とする学問です.薬物動態学では,その接近の有用な道具の一つとしての「コンパートメント・モデル」 に個体内変動や個体間変動を考慮した「統計モデル」を仮定して,生体内の薬物動態を解明することがよく行われます.この統計モデルを仮定したもとでの血中薬物濃度の測定時点のデザインをはじめ,薬物動態における統計的推論に関する研究を行っています.

生命科学分野における非線形回帰モデルの推測

非線形回帰モデルは,上述のコンパートメントモデルのように,実質科学分野の固有の知識に基づいて構築される「理論モデル」であることがよくあります.このモデルはパラメータに関して非線形であることはもちろん,このモデルにおける応答変数として当該分野で観測されるデータは非正規性及び分散不均一性を有しています.したがって,このようなモデルの統計的な推測及び診断に関する特有の方法論が必要になります.我々の教室ではこのような統計的方法論の研究を行っています.